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症例7:犬の重度歯周病

 政岡動物病院勤務獣医師山口による歯の話第10回、今回は重度の歯周病のAちゃんです。

 歯周病は、軽度から重度まであり、歯肉炎のみの場合を軽度とし、後は中等度から重度です。中等度以上は、抜歯を考えて治療にあたらねばなりません。

 歯石はかなり付着していますが、歯周病は軽度でしょうか?重度でしょうか?見た目には悪そうですね。

左の下顎の一番奥の歯と、上顎の奥歯の4本は重度の歯周病で、歯根の周りの骨まで溶けてぐらついていたので、抜歯となりました。(写真③点線丸部分)

 切歯(前歯)や犬歯は、歯石の付着は重度でしたが、歯周ポケットも深くなく、抜歯の基準を満たさないため、今回は温存としました。

 しかしこの子は、下顎が正常より少し前に飛び出ている、いわゆるアンダーショットで、これの影響で下顎の犬歯の位置がずれており、更にこれによって上顎の第3切歯と犬歯の間が近すぎて歯間が狭く(写真③参照)、この辺りには今後も歯垢や歯石が溜まりやすい、歯周病になりやすい場所だと思われました。

 何度も書いておりますが、歯科処置は治療のスタート地点です。今後、処置を受けた子達が元気で長生きし、美味しくご飯を食べ続けるために、一度口の中をきれいにしてあげる行為です。

 愛犬の口の中が気になる…そんな時はどうかお早めに、動物病院へいらっしゃってください。

 愛犬は自分で歯医者に行けません。人間のご家族のみが、彼らを歯周病から守り、また、救ってあげる事が出来ます。

(2024年2月 山口 文 DVM, Ph.D.)

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