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症例2:犬の重度歯周病

 政岡動物病院勤務獣医師山口による歯の話第5回、今度は犬の歯周病の子のご紹介です。

 歯の話②でも触れましたが、当院に来る犬猫ちゃん達の口のトラブルの中で、犬の歯周病は最も多く出会います。

 症例はRちゃん。11歳のパピヨン、避妊済みの女の子です。トリミングをご利用された時に歯周病についてお話ししたところ、手術をすることになりました。11歳で、シニア犬ですので、麻酔のリスク評価の為、しっかり検査を行いました。手術前の血液検査・レントゲン共に特に問題はありませんでした。

 軽くスケーリング(歯垢・歯石の除去)をしてから、ぐらついている歯を抜歯しました。

 抜歯の基準はいくつかありますが、ぐらついている歯、歯根が半分以上見えている歯、溶けている歯などが対象になります。

 犬でも猫でも、裂肉歯と呼ぶ大きな歯(写真①参照)(上顎の第4前臼歯)が歯周病に侵されやすく、抜歯に至る場合があります。これを抜くと、歯磨きガムなどが使用しづらくなります。

 歯周病は、歯肉炎のうちに治療をし、歯周炎(〈歯の話②〉をご参照ください)になる前に対策を行えば、歯を抜かないですむ事も多いです。

 歯の事が気になるときは、早めにご相談ください。

 また、歯周病の手術は、抜歯が必要になると特に、長い時間の麻酔が必要になります。そのくせ、歯周病が問題になるのはだいたい高齢になってからです。ですので、手術前にしっかりと心臓や肺、肝臓や腎臓などの内臓の機能を調べ、麻酔に耐えられるかどうか、きちんと評価しておく事が重要です。

 最近は、麻酔の種類も様々で、綿密に管理すれば高齢の子でも手術が可能な事は多いです。(今のところ、当院での歯科処置をした最高齢は犬猫共に16歳です。)

 「うちの子、口が臭いんだけど、もうトシだから…」と諦める前に、ぜひ一度当院にご相談ください。

(2023年5月 山口文 DVM, Ph.D.)

*掲載している写真は全て飼い主様の許可を頂いて使用しています。

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